記憶の記録、そして再生
2004.10.05
「私のことは忘れて」
彼女は言った。
「幸せになってね」
彼女は言った。
だが。
再び姿を現した彼女は笑っている。
僕の記憶にはない邪悪さで。
艶然と、悠然と。
彼女は知っていたのだろう。
思い出を捨てることの難しさを。
あのテープの重要さを。
だからこそ。
彼女は僕を笑っているのだ。
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